一般整形外科のイメージ画像

当診療科は、身体を支えたり、動かしたりする器官である運動器(骨、筋肉、関節、靭帯、腱 等)で発生したとされる病気や症状について、診察、検査、治療を行う診療科です。

対象となるのは、生まれて間もない赤ちゃんからお年寄り世代まで、全世代を対象としていますので、年齢に関係なく、運動器について何らかの異常があるという場合は、速やかにご受診ください。

当院へご来院される患者さまの多くは、日常生活の中で起きた、肩が痛む・肩を上げるのがつらい、ぎっくり腰、腰痛に長い間悩まされている、膝が痛くて階段の昇降がつらい、手足がしびれる、打撲、捻挫、骨折等のケガ(外傷)など症状を訴えて受診されます。
この場合、骨や関節だけでなく、筋肉や神経の異常によって引き起こされることもありますが、これらに関しては整形外科の診療範囲となりますので、お気軽にご相談ください。
ちなみにしびれの症状というのは、脳や中枢神経(脊髄)の異常によって起きることもありますので、このような場合は脳神経外科など専門の医療機関を紹介いたします。

以下の症状に心当たりがあれば
当診療科をご受診ください

  • 首や肩にこりがある
  • 腕を挙げることが難しい
  • 手や肘、腕、あるいは首や肩に痛みがある
  • 背中、腰、股関節、膝、脚などが痛む
  • 手や足にしびれを感じる、もしくは感覚が鈍い
  • 手足に力が入らない
  • 手指がこわばっている、もしくは脹れている
  • 指を伸ばそうとすると引っ掛かりがある
  • 突き指をした
  • 捻挫、骨折、打撲、脱臼などのケガをした

など

診察の流れ

診察の大まかな流れですが、まず問診から始めていきます。
痛みのある部位、痛みはいつからどのような痛み(ズキズキ、ピリピリ 等)があり、程度はどのようなものかなどをお聞きします。
さらに既往歴や家族歴などを尋ねることもあります。
続いて、身体診察として、視診(全身と局所の観察)、触診(局所に触れて確かめる)等のほか、関節の動きや筋力の評価、徒手検査などをしていきます。
さらに診断をつけるために追加の検査が必要となれば、単純X線検査、超音波検査、CT、MRI等の画像検査をはじめ、骨密度検査等の生体検査のほか、血液・尿検査、生検等の検体検査をおこなうなどして、総合的に判断したうえで診断をつけていきます。

部位別の疾患、お悩み

首の痛みに関しては、首あるいは肩にだけ局所的に起きることもあれば、腕や手指にまで広範囲に及ぶこともあるなど、痛み方にも種類がいくつかあります。
原因については、筋肉や関節によって引き起こされることもあれば、神経が圧迫されることで発症することもあります。
つまり原因が異なれば、症状や治療法へのアプローチもそれぞれ違うのです。
首の痛みがみられる整形外科領域の疾患には、以下のようなものがあります。

頸椎椎間板ヘルニア

頸椎椎間板ヘルニアとは

頸椎の部分にある椎間板(椎骨と椎骨の間にあり、クッションの役割を果たす)の中にある髄核が、加齢や外傷、スポーツによる酷使などによって、飛び出してしまい、それによって、神経や脊髄を圧迫するようになり、様々な症状がみられる疾患のことをいいます。

症状について

局所的には、後頸部に痛み、首の可動域制限がみられます。
神経根が圧迫を受けると左右どちらか片側の首から腕、指先にかけて鋭い痛みやしびれがみられるほか、力が入らない、感覚障害などがみられます。
また脊髄が圧迫を受けると、手指を細かく動かせない(巧緻運動障害)、運動麻痺、歩行障害、膀胱直腸障害などが現れるようになります。

治療について

まずは保存療法として、頸椎カラーを用いた装具療法で安静にするほか、痛みに対しては、薬物療法(NSAIDs、プレガバリン 等)や神経ブロック注射を行います。
保存療法だけでは改善が難しい場合は、手術療法(前方除圧固定術、椎弓形成術 等)が選択されます。

変形性頸椎症(頸椎症)

変形性頸椎症とは

頸の部分にある椎骨や椎間板が主に加齢に伴って変性し、椎間板が薄くなるなどして骨がズレてしまい、それによって神経根や脊髄が圧迫され、様々な症状がみられている状態が変形性頸椎症です。

症状について

首に痛みや肩こり、首関節の可動域制限がみられます。
また神経根が圧迫を受けると、左右どちらか片側の腕(肩甲骨から指先にかけて)にしびれや疼痛がみられ、脊髄が圧迫されることがあれば、手足の痙性麻痺、膀胱直腸障害、巧緻運動障害などがみられます。

治療について

まずは保存療法として、薬物療法(NSAIDs 等)、頸椎カラーによる固定、物理療法(牽引、温熱療法 等)などを行います。
保存療法では神経症状などの改善が難しいとなれば、手術療法(前方除圧固定術、脊柱管拡大術 等)が選択されます。

頸椎靱帯骨化症(後縦靱帯・黄色靱帯)

頸椎靱帯骨化症とは

首の骨を支える働きをする後縦靭帯や黄色靭帯が骨のように硬くなってしまい(後縦靭帯骨化症、黄色靭帯骨化症)、それによって脊髄を圧迫することで、いくつかの脊髄症状がみられている状態のことをいいます。
原因は完全に特定されていませんが、加齢や遺伝的要因が関係しているのではないかといわれています。
この頸椎靱帯骨化症については、アジア人に発症しやすいとされ、どちらの靭帯骨化症とも国の指定難病となっています。

症状について

頸部の周囲に痛みがみられるほか、腕が動かしにくい、指先を使う細かい動作ができない、手足がしびれる、運動麻痺、膀胱直腸障害、歩行障害などが見受けられるようになります。

治療について

症状が軽度なものであれば、装具を用いて首を固定させたり、薬物療法(NSAIDs 等)で痛みを緩和させたりしていきます。
なお保存療法では改善が困難、脊髄症状が重症化しているという場合は、手術療法が検討されます。

外傷性頸部症候群(むち打ち)

外傷性頸部症候群とは

骨折や脱臼などがみられることはないものの、頸部の軟部組織(筋肉、靭帯 等)が損傷を受けている状態を外傷性頸部症候群もしくは頸椎捻挫といいます。
これは一般的にはむち打ちと呼ばれるもので、多くは交通事故の追突が原因ですが、スポーツの最中に受けた強い衝撃によって引き起こされることもあります。

症状について

頸部にしびれや痛み、首が動かしにくい、耳鳴り、頭痛、吐き気などの症状がみられるようになります。

治療について

受傷して間もない時期(1~2週間:急性期)は安静に過ごします。
具体的には頸椎カラーによる首の固定、痛みがあればNSAIDsなどの痛み止めによる薬物療法を行います。
痛みがやわらぐようになれば、リハビリテーション(理学療法)も開始していきます。

肩関節

人間には実に多くの関節がありますが、その中でも肩関節は可動域が広い球関節でもあります。
そもそも肩の球関節というのは、関節の受け皿が浅いことから、日常生活やスポーツ時において脱臼など様々なケガをしやすい部位でもあります。
肩関節でよく見受けられる整形外科疾患は次の通りです。

五十肩(肩関節周囲炎)

五十肩とは

正式名称は肩関節周囲炎ですが、40~60代の世代によくみられることから、一般的に四十肩あるいは五十肩と呼ばれています。
肩関節周囲の老化をきっかけとして、炎症や痛みなどが引き起こされ、肩関節を動かしにくくなっている状態をいいます。

症状について

どちらか片側の肩にのみ症状が起きることが多く、肩や腕を動かすなどの運動時に疼痛がみられるほか、夜間や安静時にも肩の痛みがみられます。
さらに肩関節の可動域が制限されるようになります。

治療について

痛みが強く出ている場合は、NSAIDsの内服や外用薬(湿布)のほか、関節注射を行うこともあります。
また痛みが落ち着いたら無理のない範囲で動かしていき、肩関節の可動域を改善させるリハビリテーション(理学療法)も行っていきます。

肩腱板断裂

肩腱板断裂とは

肩腱板は、肩甲骨と上腕骨をつなぎ、肩関節の動きをスムーズにさせる4つの筋肉(棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋)を総称した呼び名になります。
この腱板が加齢や外傷、機械的な刺激によって一部もしくは、全部が断裂した状態になると肩腱板断裂と診断されます。

症状について

肩を動かしにくいと感じるほか、運動時に肩に疼痛(腕を上げる動作をした際に痛みが出る 等)がみられるようになります。
また睡眠時に肩に痛みが出ることで睡眠が十分にとれないということもあります。

治療について

断裂状態などによって内容は異なりますが、まずは保存療法から行います。
患部を装具などで固定し安静にします。
痛みについては、NSAIDsの内服薬や注射療法(ステロイド 等)が用いられます。
上記の保存療法では改善が困難という場合は、手術療法(腱板整復術、肩峰下除圧術)が検討されます(若年者の腱板断裂は積極的に手術療法を行います)

石灰沈着性腱板炎

石灰沈着性腱板炎とは

腱板に石灰(リン酸カルシウム)が沈着してしまい、それによって引き起こされた急性炎症のことを石灰沈着性腱板炎といいます。
原因としては、加齢による腱板の変性、線維軟骨化生がみられた状態で、リン酸カルシウムがそこに沈着することで起きるのではないかといわれています。

症状について

肩に強い痛みが突然起きたり、肩関節の可動域に制限がみられたりします。
また夜間時に眠れなくなるほど強い痛みが出ることもあります。

治療について

ステロイド薬を注入する注射療法(関節注射)が有効とされ、NSAIDsの内服等の薬物療法を行うこともあります。
なお石灰の量が多い場合は、穿刺吸引を選択することもあります。
また痛みがやわらぐようになれば、リハビリテーション(理学療法)も行っていきます。

肩関節脱臼

肩関節脱臼とは

急激な強い外力が肩関節に加わるなどして、肩が外れた状態(上腕骨の頭の部分が肩甲骨の受け皿から外れている)になっているのが肩関節脱臼です。
転倒や交通事故で起きることもあれば、コンタクトの激しいスポーツ(ラグビー、柔道 等)によって引き起こされることもあります。

症状について

肩に強い痛みがあったり、肩を動かせなくなったりします。
なお肩関節脱臼は腕の骨が前側に外れると前方脱臼、後ろ側に外れると後方脱臼と診断されますが、その大半は前方脱臼になります。

治療について

まず肩を元の位置の状態にするべく、速やかに徒手整復術を行います。
整復後は、三角巾や装具を用いて患部を固定します。
その後は、関節の拘縮が起きないように徐々に関節を動かしていくリハビリテーションを行っていきます。
なお脱臼を繰り返すようであれば、手術療法が検討されます。

上腕二頭筋長頭腱炎

上腕二頭筋長頭腱炎とは

力こぶを作る筋肉として知られている上腕二頭筋の腱に炎症が起きている状態をいいます。
同筋は腕を上げたり、肘を曲げたりする際に使われるものですが、この動きを繰り返すなどして発症するようになります。

症状について

肩の前面が痛むようになるほか、重い物を持ち上げたりする際に強い痛みが出るようになります。
また安静にしている夜間時に痛みがみられることもあります。

治療について

まずは患部を安静にし、強い痛みがあればNSAIDsなどの消炎鎮痛薬を投与し、それでも痛みが治まらない場合は腱鞘内注射(局所麻酔薬、ステロイド)をしていきます。
その後、痛みが落ち着けばリハビリテーションも行っていきます。
上記の治療だけでは、症状が改善しないとなれば、手術療法が検討されます。

肘関節

肘は、物を持ち上げるなど腕を曲げる、蓋を開ける、ドアノブを回すなどのひねる動作、遠くに物を投げる際に腕を伸ばすなど、日常生活やスポーツでもよく用いられます。
それだけにケガ(外傷)や障害が起こりやすい部位でもあります。
代表的な肘関節の疾患には、以下のようなものがあります。

テニス肘(上腕骨外側上顆炎)

テニス肘とは

肘の酷使によって、肘関節(肘外側の膨らみがある部分)に痛みや炎症がみられている状態です。
手首をよく使う仕事や家事、中高年でテニスを始めた方に発症しやすく、テニスでのバックハンドストロークを頻繁にやり過ぎることなどが原因となることから、テニス肘と呼ばれることが多いです。

症状について

物を持ち上げる、タオルや雑巾を絞るなどした際に肘の外側に痛みが出るほか、肩や手首などの離れた部位でも痛みがみられることがあります。

治療について

肘にできるだけ負担をかけないようにするため、原因とされる作業やスポーツを控えるようにしてください。
また患部には、湿布や外用薬を使用してください。
このほか、手首や指を様々な方向に動かすなどして、ストレッチも行うようにします。

ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)

ゴルフ肘とは

肘の内側部分にあたる上腕骨の内側上顆に付着している円回内筋等に炎症がみられている状態です。
主にゴルフのクラブを強く握る動作などによって同筋に負荷がかかって発症することからゴルフ肘と呼ばれるようになりました。
野球の投球動作やテニスのフォアハンドによるオーバーユース、スーツケースを引く動作、工事現場や清掃等の仕事での反復動作で起きることもあります。

症状について

物をつかんで持ち上げたり、手首を曲げたりする際に肘の内側に疼痛がみられるようになります。

治療について

発症の原因とされる作業やスポーツを控えるようにしてください。
また症状を緩和させるために患部に湿布や外用薬を塗布することもあります。
このほかにも、手関節の屈筋群のストレッチも欠かさないようにします。

肘内障

肘内障とは

幼児に起きやすいとされる疾患で、多くは親子で手をつないでいる際に大人が子供の腕を強く引っ張るなどして橈骨頭が輪状靭帯からずれてしまうことで起きるといわれています。
この場合、肘は亜脱臼の状態になっています。

症状について

肘に痛みがみられるほか、腕を動かそうとはしません。
ちなみに患部に腫脹や皮下出血等がみられることはありません。

治療について

外れかかっている肘に対して、徒手整復術を行うことで症状は改善していきます。
整復を終えた後の固定は必要ありません。
幼児の間は再発することもありますが、成長すれば肘内障を発症することはなくなります。

上腕骨離断性骨軟骨炎

上腕骨離断性骨軟骨炎とは

成長期の野球をよくする男性に起こりやすいとされています(野球以外でも投球動作がある球技で起こることもある)。
上腕骨小頭(肘の外側)の部分に繰り返し負荷がかかることで、軟骨下骨に血流障害が起きるなどして壊死が起き、次第に病変部の骨軟骨が剥がれてしまう状態が上腕骨離断性骨軟骨炎です。

症状について

運動している際に肘に疼痛がみられます。
また肘関節の外側に腫脹や圧迫時に痛みが現れるほか、肘関節の可動域制限や引っ掛かりを感じることなどがあります。

治療について

発症初期の状態であれば、運動制限によって改善することもあります。
ただある程度まで病状が進んでいる場合は手術療法が検討されます。

手・手関節

手関節や手指を含む手の部分というのは、非常に多くの関節があり、日常生活やスポーツにおいて重要な働きをする部位でもあります。
そのため、酷使をしやすくなるほか、加齢によって十分な使い方ができなくなると様々な症状がみられます。
また何らかの病気に罹患して、指の関節が動かしにくくなったり、腫れたりする障害が現れることもあります。

手根管症候群

手根管症候群とは

手首の手のひら側の骨と靭帯に囲まれたトンネルのような空間を手根管といいます。
その空洞の中を通る正中神経が圧迫されることで、手指などにおいて様々な症状が現れるのが手根管症候群です。
発症の原因としては、手指などの酷使による腱鞘炎、関節リウマチ、糖尿病、甲状腺機能低下症、手首の骨折等もありますが、原因がよくわからない特発性のケースも少なくありません。

症状について

親指をはじめ、人差し指や中指、そして薬指の親指側部分の手のひら側でしびれや痛みがみられるほか、ある程度病状が進めば脱力、親指の付け根の筋肉が萎縮したりすることがあります。

治療について

手関節を安静にし、手首を真っすぐに固定する装具療法も行っていきます。
痛みや炎症を抑制する場合は、薬物療法としてNSAIDsやステロイドによる局所注射、ビタミンB12の服用などによる保存療法が基本となります。
上記だけでは、改善の効果がみられない場合は、手術療法が選択されます。

ドゥ・ケルバン病

ドゥ・ケルバン病とは

狭窄腱鞘炎とも呼ばれ、主に妊娠・出産期や更年期世代の女性(ホルモンの影響が考えられる)、指(親指)を酷使する方などに発症しやすいとされ、腱が通るトンネル状の組織である腱鞘(手首の親指付け根付近)が腱と擦れ合うなどして炎症が起きている状態です。

症状について

手関節の親指側に腫脹や圧痛のほか、手を動かす際に痛みがみられる(運動時痛)ことがあります。

治療について

手や指をできるだけ安静にしていき、炎症や痛みについては、NSAIDsの内服や外用薬を使用します。
症状が強く出ている場合は、ステロイドによる腱鞘内注射を行っていきます。
上記の保存療法だけでは、効果が乏しいとなれば、腱鞘を切開する手術療法を選択します。

ガングリオン

ガングリオンとは

手関節付近や手指の付け根付近に無色透明なゼリー状の腫瘤が発生している状態で、若い世代の女性に起きやすいとされているのがガングリオンです。
原因は現時点で特定されていませんが、放置したとしても自然と消えてしまうこともあります。

症状について

この場合、腫瘤が発生しても痛みなどの症状は出ないとされていますが、発生した部位によっては、関節の曲げ伸ばしで邪魔になったり、神経を圧迫したりして痛みやしびれが出ることもあります。

治療について

これといって症状がない場合は経過観察となります。
何らかの症状がみられるのであれば、腫瘤に対して穿刺し、内容物を吸引していきます。
再発を何度も繰り返すということであれば、腫瘤を摘出する手術療法が行われます。

ばね指

ばね指とは

日常的に手指をよく使う方をはじめ、女性(とくに更年期世代)、糖尿病や関節リウマチ、透析患者さまに起きやすいとされています。
ばね指が起きるメカニズムですが、指を曲げる屈筋腱と、その腱が曲がる際に浮き上がらないようにコントロールするトンネル状の腱鞘があり、屈筋腱は腱鞘の中を通ります。
指を酷使すれば、これらは摩擦を引き起こし、腱鞘に炎症が起きたり、肥厚化したりするなどして、通り道が狭くなり、スムーズな動きが難しくなり、無理に曲げ伸ばしをすると引っ掛かりを感じるようになります。
このような状態をばね指といいます。

症状について

親指や中指の付け根の関節の手のひら側に痛みや腫脹がみられるほか、これらの指を曲げたり伸ばしたりすると引っ掛かったり、弾ける感じに伸びたりなどが見受けられるようになります。

治療について

まずは患部を安静にするほか、NSAIDsの内服や外用薬を使用します。
症状が強く出ている場合は、ステロイドが含まれる腱鞘内注射を行います。
上記の保存療法だけでは効果が乏しいとなれば、腱鞘切開による手術療法が検討されます。

母指CM関節症

母指CM関節症とは

手首に近く、母指(親指)の付け根にある関節付近で痛みがみられる疾患で、同関節の使い過ぎや老化によって、関節軟骨に摩耗が起きるなどして、変形性関節症がみられている状態をいいます。

症状について

物をつまんだり、蓋を開けたりする際に痛みが出るほか、握力低下がみられることもあります。
このほかCM関節に腫れがみられたり、可動域が制限されたりすることもあります。

治療について

まずは保存療法として、患部を安静にするため、装具を用いて固定していきます。
痛みや炎症については、NSAIDsによる内服や外用薬を使用する薬物療法、ステロイドを含む関節内注射などを行っていきます。
上記の保存療法だけでは改善が困難と判断されると手術療法による治療が選択されます。

ヘバーデン結節

ヘバーデン結節とは

手指の第1関節をDIP関節といいますが、同関節(人差し指から小指にかけて発症しやすい)で起きる変形性関節症がヘバーデン結節になります。
原因は特定されていませんが、40歳以上の女性患者さまが多く、手指をよく使う方が罹患しやすいともいわれています。

症状について

発症初期は、指の第1関節において、発赤、熱感、腫脹、痛みなどが出るようになります。
病状が進行すると痛みはなくなっていきますが、DIP関節において変形や屈曲がみられ、関節は固まっていきます。

治療について

腫れや痛みがある場合は、消炎鎮痛薬の湿布や外用薬の塗布などを行うほか、テーピングや装具による固定で痛みがやわらぐこともあります。
痛みなどは自然と治まることが多いのですが、半年以上経過しても治まる気配がない、変形が強く出ているという場合に手術療法が選択されることもあります。

槌指(マレット指)

槌指とは

マレット指とも呼ばれるもので、バスケットボール、バレーボール、ドッチボールなど球技スポーツが原因になることが多いです。
これは、指先にボールが当たるなどして打撲し、第1関節(DIP関節)が曲がったままに伸びなくなっている状態をいいます。
一口に槌指と言いましても、指先を伸ばす腱が切れてしまう腱性槌指、もしくは腱が付着している部分の骨が折れている等の骨性槌指に分類されます。

症状について

第1関節が曲がったままになり、自分で伸ばせなくなります。
また指先に痛みや腫れがみられたり、骨折していたりすることもあります。

治療について

発症して間もなければ応急処理としてRICE療法(冷却・安静・圧迫・拳上)を行います。
骨折の箇所が大きい、あるいは関節にズレがないという場合は、シーネ固定等の装具を用い、腱を伸ばした状態で患部を6~8週間程度固定していきます。
固定している期間を終えたら、まずは関節を無理のない程度で動かしていきます。
関節にズレや脱臼、骨折による骨片が大きいとなれば、手術療法が選択されます。

腰に痛みを一度でも感じたことがある日本人は全体の8割以上に及ぶとされ、腰痛は国民病ともいわれているほどです。
しかも腰痛の原因の多くは不明(非特異的腰痛)とされています。
それでも多くは整形外科領域に関する異常ですが、内臓に関係する病気の可能性もありますので、気になる腰の痛みは早めにご受診されるようにしてください。

腰痛症(急性・慢性)

腰痛症とは

腰あるいはその周辺に痛みがある状態を総称して腰痛症といいます。
大きく急性と慢性に分かれますが、前者はいわゆるぎっくり腰のことで、多くは4週間程度で症状が改善するようになります。
一方の後者(慢性腰痛症)は3ヵ月以上腰痛が続いている状態のことをいいます。
この場合の原因としては、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などが判明することもありますが、はっきり特定されないことの方が多いです。

症状について

腰に痛みやしびれが出ますが、急性腰痛症では突然強い痛みに襲われることが多いです。
また慢性腰痛症では、重くてだるい痛みに見舞われることもあれば、精神状態が原因ということもあります。
上記以外では、動作時に痛みが出たり、腰を伸ばすことが困難になったりすることもあります。

治療について

原因によって治療内容は異なりますが、多くは保存療法から開始します。
痛みが強ければ、安静にすることが必要で、コルセットなど患部を固定する装具療法を行います。
また、薬物療法(NSAIDs、アセトアミノフェン 等)や神経ブロック注射で痛みを軽減させる治療をすることもあります。
さらに痛みが落ち着いてからリハビリテーション(理学療法)を行うことも大切です。
このほか精神的要因による腰痛であれば、認知行動療法等の精神療法が有効です。

上記の保存療法だけでは腰痛を緩和させることが困難となれば、原因に応じた手術療法が検討されることもあります。

腰椎椎間板ヘルニア

腰椎椎間板ヘルニアとは

脊椎(背骨)の中でも腰の部分にあたる部分のことを腰椎といいます。
この腰椎にある椎間板が何らかの原因による変性によって髄核が後方に飛び出し、神経を圧迫することで様々な症状がみられている状態が腰椎椎間板ヘルニアです。

症状について

腰や臀部に痛みが出るほか、脚にしびれなどがみられるようになります。

治療について

まず保存療法から始めます。
痛みが強い時期は、コルセットによる装具療法で安静にします。
また痛みを軽減する治療としては、NSAIDsや筋弛緩薬等の薬物療法のほか、痛みを強く訴えている場合は、神経ブロック注射を用いることもあります。
上記の治療だけでは痛みが治まらない、膀胱直腸障害や下肢に脱力がみられるなどしている場合は手術療法(椎間板ヘルニア摘出術 等)の適用となります。

腰部脊柱管狭窄症

腰部脊柱管狭窄症とは

背骨の中心を通る脊柱管の中に神経(脊髄)が通っています。
この脊柱管が何らかの原因で狭窄し、それによって神経が圧迫を受けるなどして、様々な症状が現れるようになります。
狭窄の原因は、繰り返しの作業や肥満によって腰椎に負担がかかる、黄体靭帯の肥厚化、圧迫骨折などによる椎骨(背骨)の変形などが挙げられます。
いずれにしても狭窄部位は腰椎で起きることが多いので腰部脊柱管狭窄症と呼ばれるようになりました。

症状について

腰痛や坐骨神経痛がみられるほか、間欠性跛行などがあります。
間欠性跛行とは、歩き始めは何も症状は現れないが、歩き続けることで足にしびれや痛みがみられ歩けなくなるというものです。
ただ休みをとれば痛みがとれ、再び歩けるようになるものの、やはり歩き続けると痛みで歩けなくなります。

治療について

保存療法から始めていきます。
コルセット装着による装具療法を用い、前傾姿勢をできるだけとるなどしていきます。
痛みを軽減させる治療として薬物療法(NSAIDs、プレガバリン 等)もありますが、これは完治を目的としたものではありません。
上記の治療だけでは症状の改善が難しいとなれば、脊柱管を広げる手術療法を検討します。

腰椎変性すべり症

腰椎変性すべり症とは

腰の部分にある椎骨で起きる疾患です。
この場合、下の骨(椎骨)から見て、上の骨(椎骨)が前方もしくは後方にズレてしまうことで、神経(脊柱管)が圧迫を受けるなどして、腰部脊柱管狭窄症と同じような症状がみられる状態になります。
原因としては、加齢や女性ホルモンの分泌異常が挙げられ、これらによる椎間板や関節の変性などによって引き起こされるといわれています。
このようなことから40歳以上の女性の患者数が多いです。

症状について

腰の痛みをはじめ、坐骨神経痛(足にしびれや痛みがみられる)、間欠性跛行などがあります。

治療について

基本は保存療法で、コルセットで腰部を固定して安静にする装具療法をはじめ、痛みについては、NSAIDsや血管拡張薬等の薬物療法や神経ブロック注射を行っていきます。
保存療法では症状の改善は困難、病状が重症化しているという場合は手術療法(除圧術 等)を検討していきます。

腰椎分離症・分離すべり症

腰椎分離症・分離すべり症とは

本来であればつながっているはずの腰の部分にある椎骨の椎体と椎弓が分離した状態にあるのが腰椎分離症です。
分離の原因は、成長期における過剰なスポーツで発生することが多く(椎弓の疲労骨折)、10代の男性に起きやすくなっています。
また分離によって不安定になった椎体が前方に転位するなどしている状態になるのが分離すべり症です。

症状について

腰椎分離症では疲労骨折などによる腰痛、すべり症でも腰痛がみられるほか、椎弓と椎骨が分離した部位で骨棘が形成され、それによって圧迫を受けるなどすれば神経根症状として、脚の放散痛や感覚障害などがみられることもあります。

治療について

基本は保存療法です。
発症して間もない時期は、コルセット等で腰部を固定する装具療法を用いて、運動を制限することも大切です。
病状が継続している間の痛みを抑える治療としては、NSAIDs等の薬物療法や神経ブロック注射を行います。
なお保存療法だけでは効果が乏しいと判断されると手術療法(脊椎固定術 等)が選択されます。

側弯症

側弯症とは

一般的には背骨と呼ばれている脊柱が真っすぐではなく、左右に曲がっている状態を側弯症といいます。
発症の原因の大半は、特定できない特発性側弯症であり、この場合は思春期の女子によく見受けられ、学校健診で指摘されることもあります。

症状について

背骨が曲がっていることで、肩の高さやくびれが水平でなかったり、肩甲骨が突出したりするなどします。
なお重症化するようなことがあれば、背骨だけでなく、胸郭にまで変形が及び、心臓や肺を圧迫し、呼吸や循環器に何らかの影響が及ぶこともあります。

治療について

曲がり方が軽度な場合は経過観察となります。
治療が必要となれば、装具を用いて背骨の歪みを矯正していく装具療法を行います。
また症状が進行している場合は、手術療法が選択されます。

股関節

股関節は球関節であるため、様々な方向に動きやすいという特徴があるほか、体重を支えたり、衝撃を和らげたりするなどの役割があります。
ただ同関節は、加齢や体重の増加によって軟骨がすり減ったり、骨が変形したりすることもあれば、先天的な変形、外傷、何らかの病気に見舞われるなどすることもあります。
これらによって痛みなどがみられると歩行障害などが起き、日常生活に支障をきたすようになります。

変形性股関節症

変形性股関節症とは

股間節の軟骨がすり減る、骨が変形するなどして痛みや股関節の可動域の制限がみられるなどするのが変形性股関節症です。
原因に関しては、大きく一次性と二次性に分けられます。
前者(一次性)は原因がはっきり特定できないもので、加齢や肥満、重い荷物を持ち上げる重労働などが関係しているのではないかといわれています。
一方の後者(二次性)は、何らかの原因疾患があって発症するタイプで、寛骨臼形成不全や発育性股関節形成不全など、乳児期の股関節の脱臼、骨盤側の受け皿が先天的に浅い等がきっかけとなって、それが進行することで起きるようになることが多いです。

症状について

発症初期は、股関節を動かす運動をし始めたり、股関節に体重が加わったりする際に鼠径部などに痛みが出るようになりますが、病状が進行すれば、安静時や夜間時にも痛むようになります。
また股関節の伸展などの動きも制限されるため、靴下を履く、足の爪を切るなどの日常生活に支障をきたすようになります。
そのほか、股関節の変形、左右で脚の長さが異なる、跛行なども起きるようになります。

治療について

まずは保存療法から始めていきます。
具体的には、股関節に負担をかけないように減量をしたり、杖を使用したりするなどして関節に負荷がかからない等の日常生活習慣の見直し、関節周囲の筋肉を鍛える運動療法、股関節の動きを制限して痛みを軽減するなどの装具療法が行われます。
このほか強い痛みがある場合の対症療法として、NSAIDsやアセトアミノフェン等の薬物療法、患部にステロイド薬やヒアルロン酸を注入する関節内注射も行っていきます。
なお病状が進行していると医師が判断すれば、手術療法(関節温存術、人工関節置換術)が選択されます。

特発性大腿骨頭壊死症

特発性大腿骨頭壊死症とは

大腿骨の頭(付け根)の部分を大腿骨頭といいますが、同部位への血流悪化がきっかけとなってその後に壊死が発生、これによって大腿骨頭が潰れるなどすれば様々な症状が起きるようになります。
原因がはっきり特定できない場合に特発性大腿骨頭壊死症と診断されますが、男性の場合は多量の飲酒、女性の場合はステロイドの投与などが関係しているといわれています。

症状について

発症初期は、股関節に体重が加わる際に痛みが突然現れるようになります。
病状が進行すれば、痛みは持続することとなるほか、股関節の可動域が制限されるようになります。
なお両側の股関節で発症することも少なくありません。

治療について

壊死の部分の範囲が狭く、関節面の崩れがみられないとなれば、保存的療法となります。
この場合は、体重が股関節に加わる動きは控えるなどしていきます。
さらに筋力や関節可動域を維持するためのリハビリテーション(運動療法などの理学療法)を医師の指示通りに行うことも必要です。
壊死の部分が広範囲に及ぶようであれば手術(骨切り術、人工関節置換術 等)が検討されます。

大腿骨頸部骨折

大腿骨頸部骨折とは

大腿骨頭と大腿骨の間にあるくびれの部分(足の付け根)を大腿骨頸部といいますが、同部位で骨折が起きている状態にあると大腿骨頸部骨折と診断されます。
主に骨粗しょう症で骨が脆弱化した高齢女性が転倒するなどして起きることが多いといわれています。

症状について

転倒後に足の付け根の部分に痛みがみられ、歩行が困難となり、寝たきりになりやすいといったことがあります。

治療について

手術療法が基本となります。
高齢者の場合は、寝たきりや認知症の発症や進行リスクが高まるので、できるだけ早めに行います。
高齢者の患者さまの転位型骨折であれば、人工骨頭置換術が行われることが多いです。
手術後は、廃用症候群のリスクを避けるべく、早めにリハビリテーションも行っていきます。

股関節唇損傷

股関節唇損傷とは

肩関節や股関節にある球関節の受け皿の部分のくぼみの縁を取り囲んでいる軟骨が関節唇で、関節の安定性に欠かせない働きをするほか、関節で受けた衝撃を和らげるなどの役割も果たすとされています。
この股関節にある関節唇が何らかの原因でダメージを受けている状態にあると股関節唇損傷と診断されます。
原因としては、日常生活やスポーツでの股関節の酷使、転倒や衝突による外傷、骨の形態異常(大腿骨寛骨臼インピンジメント、寛骨臼形成不全 等)などが発症のきっかけとなることもあります。

症状について

足の付け根や鼠径部に痛みがみられたり、股関節にこわばりや引っ掛かりを感じたりするようになります。
また股関節の可動域に制限がみられるようにもなります。

治療について

保存療法が中心となります。
まず股関節に負担をかける動作やスポーツは控えるようにし、負荷をかけない動かし方を学んだり、リハビリで股関節周囲の筋力や体幹を鍛えたりするなどしていきます。
痛みが強ければ、NSAIDs等の薬物療法や関節内注射なども行っていきます。

なお保存療法だけでは、痛みや引っ掛かる感覚が改善せず、日常生活にも支障をきたしているとなれば手術療法が選択されます。
この場合、損傷した関節唇を縫合あるいは修復などしていきます(股関節鏡視下手術)。

単純性股関節炎

単純性股関節炎とは

主に5歳前後の小児~小学生低学年の児童に発症しやすいとされるものです。
股関節に炎症がみられる前に風邪の症状がみられるのが特徴で、それが治った1~2週間後に股関節に炎症が起き、それによって関節内に水が溜まっている状態にあるのが単純性股関節炎です。
原因としては、ウイルス感染や免疫反応が関係しているのではないかといわれています。

症状について

左右どちらかの股関節のほか、膝や太ももの周囲でも痛みを訴えるようになります。
また歩く際は、足を引きずるようになります。
なお症状が化膿性股関節炎と似ているため(片側のみ股関節痛 等)、鑑別するために血液検査や超音波検査などを行うこともあります。

治療について

基本は安静に過ごすことが大事としているので、股関節に負担がかかる運動は控えるようにします。
多くは1~2週間の安静で自然と回復するようになりますが、炎症や痛みが強く出ている場合は、NSAIDs等の消炎鎮痛薬による薬物療法を用いることもあります。

ペルテス病

ペルテス病とは

6歳前後(5~7歳)の幼児や児童に発症しやすく、大腿骨近位骨端部への血流が悪化するなどして、骨が壊死してしまい、それによって骨が潰れたり変形したりするなどして様々な症状がみられている状態をいいます。
男女比では、圧倒的に男子が多く、発症率はおよそ5倍ともいわれています。
発症の原因については、現時点で特定されていません。

症状について

股関節の痛みを訴えたり、足をひきずって歩くなどの症状がみられたりします。
また股関節の可動域が制限されることもあります。

治療について

なお壊死した部分の骨については、3~4年の期間を経て自然に修復、回復するようになります。
治療内容ですが、病変による変化が小さい場合は、大腿骨頭が適切な状態を保てるようにするための免荷装具療法による保存療法が行われます。
なお大腿骨頭の壊死の範囲が広い、発症時の年齢が高い(9歳以上)という場合は、骨の形を整えるための手術療法が検討されます。

膝関節

主に曲げたり、伸ばしたりする動きがメインの膝関節は動きが限定されるものの、体重が常にかかる関節であるため、使い過ぎによる酷使や加齢などの影響によって、障害やケガが起きやすい関節でもあります。
また歩行時によく使われる関節でもあるので、安静にすることが難しく、ケガや障害が再発しやすかったり、治りにくかったりすることもあるなど、日常生活に影響を及びやすい部位でもあります。

変形性膝関節症

変形性膝関節症とは

加齢をはじめ、肥満による体重超過、ハードな運動による酷使などによって、膝の軟骨がすり減っていき、大腿骨などの骨にも影響がみられ、様々な症状が見受けられている状態が変形性膝関節症です。
原因は大きく2つに分けられます。
ひとつは原因をはっきり特定することはできない一次性膝関節症ですが、この場合は加齢や肥満などが関係して起きるとされるタイプが含まれます。
また二次性膝関節症は原因疾患によって引き起こされるもので、半月板損傷や膝靭帯損傷、骨折等による外傷、関節リウマチ等の関節炎などが挙げられます。

症状について

膝関節の腫脹や痛みをはじめ、関節の変形や可動域の制限などもみられるようになります。
痛みに関しては、発症初期は、膝を動かし始め、立ち上がり時に痛みが出るようになりますが、動いていると症状が和らぐようになります。
なお病状が進行すると動作中も痛みは続き、次第に歩行するのが困難になっていきます。

治療について

病状の進行程度に関係なく、まずは保存療法から始めます。
具体的には、肥満の方は減量し、膝に負荷をかける動作(正座 等)は控えるなどしていきます。
また膝関節周囲の筋力を鍛える運動療法、膝に加わる負担を軽減させる装具療法、痛みを抑制する薬物療法(NSAIDsやアセトアミノフェン等の鎮痛剤の使用、ヒアルロン酸やステロイド薬による関節内注射 等)も行っていきます。

上記の保存療法だけでは改善が困難という場合は、手術療法(関節温存術、人工膝関節置換術)が選択されます。

半月板損傷

半月板損傷とは

半月板は軟骨組織のひとつで、大腿骨と脛骨の間にあり、膝関節にかかる衝撃をやわらげるほか、関節を安定させる働きを担う役割があるのですが、この半月板に亀裂が入ったり、一部が切れてしまったりしている状態にあるのが半月板損傷です。
損傷の原因としては、スポーツ時の激しい動き(ジャンプ後の着地、膝を捻る、急な方向転換 等)や加齢による変性などが挙げられます。

症状について

膝に痛みや関節の腫れがみられるほか、膝を伸ばそうとした際に引っ掛かりを感じることがあります。
このほか膝関節の可動域制限などがみられることもあります。

治療について

治療内容は、症状の程度や患者さまのニーズなどによって異なります。
症状が軽度であれば、保存療法が行われます。
この場合は、膝への負担を減らすためにサポーター等の装具療法、痛みや炎症を抑えるための治療として、NSAIDs等の消炎鎮痛薬やヒアルロン酸による関節内注射等が行われます。
また痛みが治まれば、膝関節周囲の筋肉を鍛えるなどのリハビリテーションを行います。

膝靱帯損傷

膝靭帯損傷とは

一口に膝靭帯と言いましても、前十字靭帯(ACL)、後十字靭帯(PCL)、内側側副靭帯(MCL)、外側側副靭帯(LCL)と4種類あります。
これらは脛骨と大腿骨をつなぐ働きをするほか、脛骨が前後左右にずれるのを防ぐ役割もあります。
この靭帯に強い外力が加わることで、部分的もしくは全てが切れてしまっている状態にあるのが膝靭帯損傷です。
原因としては、スポーツ中の接触、ジャンプ後の着地や急な方向転換によって起きることもあれば、交通事故等での外傷(ダッシュボード損傷)もあります。

症状について

膝に痛みや腫れがみられるほか、膝がぐらつくなどの不安定感、関節可動域の制限などがみられるようになります。

治療について

損傷した靭帯の種類や症状の程度などによって内容は異なります。
軽症の場合は、保存療法になります。
例えば、膝に負担をかけないように装具やテーピング等によって固定し、安静にします。
痛みや腫れが落ち着くようになれば、リハビリテーションとして、膝関節の動きを改善させたり、膝周囲の筋肉を鍛えたりする訓練を行っていきます。
前十字靭帯(ACL)を断裂し、膝の不安定性が強い、スポーツ選手として激しい動きをしていきたいという場合は手術療法(前十字靭帯再建術)が選択されます。

離断性骨軟骨炎

離断性骨軟骨炎とは

膝関節を覆っている軟骨と、そのすぐ内側にある骨が剥がれ落ちてしまっている状態をいいます。
スポーツをよくする成長期の子ども(小学校高学年~高校生)に多く、男性の割合が高いです。
原因については、完全に特定されていませんが、スポーツの動きによる繰り返しの動作による負担が骨に血流障害を引き起こし、それによって骨が壊死するなどして剥がれるようになるといわれています。

症状について

発症初期は、運動後に軽度な痛みが出る程度で、骨が剥がれたとしても離れることはありません。
なお病状が進行するようになれば、剥がれた骨が元々あった場所から分離することがあります(関節遊離)。
このような状態になると、膝の痛みが強くなるほか、ロッキング(膝関節が動かなくなる)に見舞われるようになります。

治療について

成長期のお子さまで骨軟骨片が剥がれていない状態であれば、安静にして、膝の負担がかかるスポーツは控えるようにします。
痛みが落ち着き、骨の修復も確認できるようになれば、リハビリテーションを開始し、膝の動きを改善する訓練や膝関節周囲の筋トレを行っていきます。

上記の保存療法だけでは症状が改善しない、骨軟骨片が不安定だったり、完全に離れたりしている状態にあれば手術療法(ドリリング、整復固定術 等)が検討されます。

オスグッド病

オスグッド病とは

スポーツを活発に行っている成長期の男子に起きやすい疾患であり、膝でみられるスポーツ障害でもあります。
飛ぶ、走る、蹴るなどの動作を繰り返す陸上競技や球技(サッカー、バスケットボール、バレーボール 等)を行っている選手によく見受けられます。
太ももの前面にある大腿四頭筋は、膝のお皿や膝蓋腱を通じて脛骨粗面(脛骨の上部に存在)と呼ばれる部位とつながっています。
成長期の時点では脛骨粗面の骨は十分に成長していないこともあり、激しい運動によって筋肉に引っ張られる力を繰り返すと、その負荷に耐えられず同部位で炎症や腫れ、骨や軟骨の損傷がみられるようになります。
ただ多くは成長によって症状が治まるようになります(脛骨の骨端線閉鎖:男子は17~18歳頃)。

症状について

膝の真下の部分が運動時に痛みが出るほか、脛骨粗面に腫れや圧痛がみられるなどします。

治療について

運動前後に大腿四頭筋のストレッチを入念に行うほか、運動後のアイシングをしていきます。
このほか、オスグッドバンドを用いて、膝蓋腱を固定することも大切です。
なお成長後も骨の変形(脛骨粗面の突出)や痛みが出続けるという場合は、手術療法が選択されることもあります。

膝関節捻挫

膝関節捻挫とは

転倒やスポーツを行っている最中など、膝に強い力が加わる状況に陥ってしまい、靭帯や関節包などが損傷を受けている状態にあるのが膝関節捻挫です。
骨折や脱臼が起きていれば、捻挫とは診断されません。

症状について

膝に痛みや腫れがみられるほか、膝関節の可動域が制限を受けたりします。
また膝に力が入らない、不安定になることもあります。

治療について

受傷したその直後にまずは応急手当としてPOLICE療法を行います。
POLICEとは、Protection(保護)、Optimal Loading(適切な負荷)、Ice(冷却)、Compression(圧迫)、Elevation(挙上)の4つの頭文字を合わせたもので、これらによって痛みや腫れ、内出血などを最小限に抑えられるようになるとされます。
なおこれらの処置が済んだら速やかに医療機関を受診されるようにしてください。
保存療法としては、膝に負担をかけないように安静にしたり、患部をサポーターや装具で固定したりすることもあります。
痛みがある場合は、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)や湿布などの外用薬を使用することもあります。
また、膝関節捻挫を引き起こし、それによって膝靭帯損傷や半月板損傷がみられるのであれば、それらの治療を行っていきます。

足首からつま先までの範囲が足・足関節となります。
足関節とは足首のことで、脛骨・腓骨と足の骨をつなぐ関節でもありますが、関節の中でも一番捻挫をしやすい部位でもあります。
また人間は二本足で歩きますが、それによって足で全身の体重を支えたり、足裏で衝撃を吸収したりするなど重要な働きをするのが足の部位です。
そのため、これらでケガや病気が起きた場合も日常生活に支障をきたしやすくなるので注意が必要です。

足関節捻挫

足関節捻挫とは

足関節に外力が加わることで、関節包をはじめ、腱、筋肉、靭帯などが部分的に断裂している状態が足関節捻挫です。
この場合、多くはスポーツ時や日常生活において足首をひねるなどして軟部組織(腱、靭帯、筋肉 等)が損傷を受けてしまうことで発症します。

症状について

足首に痛みや腫れがみられます。
さらにこれといった治療をすることなく、靭帯が緩んだ状態で放置をしていくと関節は不安定となって、足首が捻挫を繰り返すようになるので注意が必要です。

治療について

受傷後は速やかに膝関節捻挫と同様にPOLICE療法による応急処置を行います。
その後、医療機関を受診し、患部を固定して安静にします。
また痛みが強く出ている場合は、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)や湿布などの貼付薬を使用することもあります。
なお靭帯の損傷の程度が重症であったり、足関節捻挫を何度も繰り返したりするという場合は、手術療法(靭帯再建術 等)が選択されます。

足関節果部骨折(脱臼骨折)

足関節果部骨折とは

足関節果部とは、くるぶしを含む周辺の部位のことですが、同付近で強い外力が発生することで起きた骨折のことをいいます。
足を捻る、転倒する、高い場所から落下するなどして発症するようになります。
なお骨折した部位によって、内果骨折、外果骨折、後果骨折と呼ばれることもあります。

症状について

足首に強い痛みや腫れがみられるのをはじめ、皮下出血、足首の変形がみられるほか、足を着いたり、歩いたりすることなどが困難になります。

治療について

骨折によるズレの影響が少なく、足関節も安定しているという場合は、ギプスなどで足首を固定していきます。
骨がつくようになるまでは、患部に体重がかからないよう松葉杖等を使用していきます。
なお骨折によるズレが大きかったり、脱臼も起きていたりする場合は、関節を正しい位置に戻す整復を行います。
それでも関節が不安定、骨が複数折れている、関節面が大きくズレているとなれば、手術療法を行い、スクリューやプレートを使用して患部を正しい位置へ固定していきます。

アキレス腱断裂

アキレス腱断裂とは

ふくらはぎの筋肉と踵をつなぐ、人体の中で最も太いとされる腱がアキレス腱です。
このアキレス腱が切れてしまった状態がアキレス腱断裂です。
主にスポーツの最中に足首に負担がかかる動作(ダッシュ、ジャンプ)をしたり(30~40代が多い)、高齢者では転倒したりすることでアキレス腱が切れるようになります。

症状について

アキレス腱が断裂する際に「ブチッ」という断裂音を聞くことがあるほか、踵付近を誰かに蹴られている感覚に襲われることもあります。
また腱が切れた部分では疼痛がみられ、発症直後は歩行するのが難しいものの、時間が経過すればべた足なら歩けるようになります。
このほか、つま先立ちをするのが困難になります。

治療について

保存療法と手術療法があります。
前者を選択する場合は、患部をギプスで固定し、断裂用装具も用います。
また痛みや炎症を抑えるためにNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)を使用することもあります。
後者の手術療法は、早期のスポーツ復帰を望んでいる方など、活動性の高い方に対して行われます。
内容としては、腱を縫い合わせるアキレス腱縫合術で、その後はギプスで固定していきます。
どちらの治療法にしても、機能回復や再発予防を目的としたリハビリテーションは必要となります。

距骨骨軟骨損傷

距骨骨軟骨損傷とは

脛骨と踵の骨の間にある足首の関節を構成する骨を距骨といいます。
この距骨の表面を覆う軟骨とその下にある骨が損傷、剥離を受けている状態が距骨骨軟骨損傷です。
足首の捻挫やスポーツ中の外傷やスポーツ時に加わる繰り返しの足首の負荷(ジャンプ時の着地 等)などによって引き起こされるといわれていますが、原因がよくわからないこともあります。

症状について

足関節に慢性的な痛みがみられますが、足首に体重がかかる動きをするとさらに痛みが強くなることもあります。

治療について

症状の程度によって治療内容は変わりますが、損傷の程度が比較的軽度であれば保存療法となります。
この場合は、足首の負担を軽減させるために運動を控え、患部を装具やギプスで固定するほか、松葉杖を使用し、体重が足首にかからないようにしていきます。
炎症や痛みに関する治療は、NSAIDsなどの消炎鎮痛薬や湿布などの外用薬を使用し、痛みの症状が落ち着けば、足関節の動きを改善したり、足首周囲の筋力を鍛えたりするリハビリテーションも行っていきます。
上記の保存療法では改善が困難、症状の程度が重いとなれば、手術療法が検討されます。

外反母趾

外反母趾とは

足の親指が足の人差し指側を向いてしまい、足親指の関節の付け根が内側に出っ張るように変形している状態が外反母趾です。
足に合わない靴を履くことによる圧迫、遺伝的要因、偏平足、足の筋力低下など様々な要因によって発症するようになります。
女性の患者数が多く、症状が進行すれば、親指の変形だけでなく、他の指にも変形がみられるなどして、歩行にも影響が現れたりします。

症状について

足の親指の変形した部位に痛みや腫れがみられ、突出した部分は靴に擦れたりするので炎症が起き、出血や潰瘍もみられるようになります。

治療について

まずは足に合う靴を履くようにしてください。
また外反母趾の改善や予防に効果がある足の指の体操、足底板(インソール)等による装具療法、痛みがある場合は消炎鎮痛薬を含む湿布や塗り薬等の外用薬を使用します。
上記の保存療法のみでは、痛みが治まらない、変形の影響などによって歩行等に支障があると判断した場合は、手術療法が選択されます。

偏平足

偏平足とは

足裏のアーチ状になっている土踏まずの部分が消失していることで、立った際に同部分も含めて地面に足裏がべったり着いてしまっている状態を偏平足といいます。
子どもは足裏の筋力が弱いのでなりやすいですが、成長と共に解消されるようになります。
成人の場合は、加齢による筋力低下、肥満による体重増加、立ち仕事が多い、外傷などによって引き起こされるようになります。

症状について

偏平足によって何らかの自覚症状が出ることは少ないですが、長時間歩くなどすれば、足が疲れやすくなるほか、張りや足裏に軽い痛みがみられることがあります。

治療について

足底筋の筋力を鍛えるトレーニング、足にかかる負担を軽減するアーチサポートによる装具療法などを行っていきます。

内反足

内反足とは

足首から先が内側を向いてしまっている状態で、見た目はゴルフクラブのような形に見えます。
そのため足裏は内側向きになっています。
出生時に確認されることが多いので大半は先天性ですが、脳血管障害等の神経疾患などの原因疾患によって足首より先が内側に向くこともあります。
この場合は、後天性内反足と診断されます。
なお先天性内反足については、現時点で原因がはっきり特定されていません。

症状について

先でも述べましたが、足の部分が内側を向いていますが、片足のケースもあれば、両足でみられることもあります。
このほかにも足に痛みが出たり、歩行するのが難しくなったりします。

治療について

先天性内反足であれば、できるだけ早期に矯正ギプスによる治療を行っていきます。
ただ変形の状態が強いという場合は、手術療法が選択されます。
また後天性内反足では、ストレッチや筋力強化によるリハビリテーション(理学療法)を行うほか、装具療法(短下肢装具 等)で正しい足首の位置を保つようにします。
なお上記の保存療法では改善が困難、あるいは足の変形が重度の場合は、手術療法が行われます。

モートン病

モートン病とは

足指の裏側付け根(とくに足の人差し指・中指・薬指)付近の神経が圧迫を受けるなどして、痛みをはじめ様々な症状がみられるのがモートン病です。
中年世代以降の女性の患者さまが多く、幅の狭い靴やハイヒールを履く、立ちっぱなしの姿勢でつま先部分に体重をかけ続けるなどすると発症しやすくなります。

症状について

足裏側足指の付け根に痛みやしびれがみられます。
痛みについては、ヒリヒリと焼け付くような痛みがでることもあります。

治療について

基本は保存療法となります。
まずは足裏の神経が圧迫を受けないよう、サイズの合う靴を履くようにします。
さらに足底挿板やインソール等の装具療法を用いれば、衝撃を吸収するようになるので、神経の圧迫は軽減されていきます。
痛みが強ければ、NSAIDsの内服や局所への注射(ステロイド・局所麻酔薬)を行っていきます。
保存療法では効果が乏しいとなれば、手術療法(神経剥離手術 等)が検討されます。